PCT国際段階における発明者追加・削除はどのように行うのか
ひょんなことから知り合ったおばちゃまが、東京から佐渡に移住されて、はや数年。時折、自分でお作りになった野菜や果物や地元のものを送ってくださります!
自家製の梅干しを頂きました。甘すぎず辛すぎず、大きすぎず小さすぎず、まさにいい塩梅(あんばい・えんばい)です。
さて、閑話休題。
出願後に、発明者の記載が間違っていたと、出願人が判断する場合があります。この辺の事情はいろいろですが、ここでは割愛します。とにもかくにも、出願人が発明者の記載の表記を変更したいという、そういう状況です。
例えば、現在、A、B、Cの3名が発明者と記載されているけれども、真の発明者がA、B、Dであった場合を考えます。つまり、AとBはそのまま、Cは追加、Dは削除ということです。
国内手続で発明者の追加・削除をするときには、発明者全員と現在発明者とされているもの全員による、宣言書を提出しなければなりません。上述の場合、「A、B、Dが発明者である」旨を宣言する宣言書を作成して、A、B、C、Dが署名します。かかる宣言書を提出しつつ、発明者の記載欄を補正することになります。なお、手続補正書では、【発明者】の欄の全とっかえ、という形式で補正するので、単に1名を加えるだけであっても、全発明者を記載することになります。上記手続補正書は、オンラインで提出しますが、上記宣言書は、手続補足書によって、紙で提出することになります。
このような国内手続と異なり、PCT国際段階では、このような宣言書は必要とされておりません。そして、PCT国際段階では、受理官庁である特許庁に対して、【新名義人】として、【事件との関係】を「すべての指定国における発明者」と記載して、名義変更届を提出することになります(この手続きは、現在では、オンラインでできるようになりました。)。「名義人」というニュアンスは、一般には権利者を意味しそうですが、PCT国際段階では、出願人も発明者も「名義人」と呼ばれており、その下位概念として、「発明者」や「出願人」がある、というニュアンスになります。なお、PCT国際段階でも、全とっかえ、という形式ですので、単に1名を加えるだけであっても、全発明者について、【新名義人】として、繰り返し欄をもうけて記載することになります。さもないと、加えた1名だけが発明者になってしまい、本来あるべき状態が実現しません。