特許実務でよく使う表現で、「A又はBのいずれか早い方」、「A又はBのいずれか遅い方」という表現があります。 例えば、「医薬品の場合の「特許発明の実施をすることができなかった期間」は、 臨床試験を開始した日、又は特許権の設定登録の日のうちのいずれか遅い方の日 から、承認が申請者に到達した日、すなわち申請者が現実にこれを了知し又は了知し得べき状態におかれた日の前日までの期間である。」 A or B, whichever comes first A or B, whichever comes later と訳するのがお決まりの表現です。 この応用編としては、以下があります。 違う動詞として、 , whichever occurs first でもいいです。 違う動詞として、be動詞にして , whichever is later でもいいです。 また、受け身でも当然よくて、 , whichever is filed first でもいいです。 また、whicheverを形容詞的に用いて、 , whichever event occurs first でもいいです。 時間の前後だけではなくて、 , whichever is less , whichever is shorter , whichever is greater , whichever is more favorable などでもよいわけです。 お読みになってくださった方のお役に立ちますようにこの記事を書きました。 ↓お役に立ったという方はクリックを!(励みになります!) (2017年4月1日からお試し中です) ↑特に役には立たなかったけど努力は認めるという方もクリックを!!(励みになります!)
日本の国内優先権制度では、基礎出願は、基礎出願日から1年3月後に取下擬制されます(42条)。これはやや残念な制度です。 とくに世間では国内優先権の有効性が、問題となるケースが頻発しております。特に、クレームを全くいじらなくても、かつ、基礎出願の実施例だけで、もとのクレームが十分にサポートされているにもかかわらず、実施例を追加した結果、優先権主張が効かなくなるケースもあり得ます。 その結果、基礎出願と主張出願の中間の開示により、主張出願は、権利が採れず(あるいは無効にされ)、また、基礎出願は、取下擬制になっているという、極めて気の毒な状況が生じ得ます。もっとも、判例実務の流れを理解せずに、リスクをとった結果なので、そういう事態に陥るには自己責任にすぎないともいえますが。。。 特許法概説なんかをみますと、国内優先権の利用態様として、①実施例補充型、②上位概念抽出型、③発明の単一性利用型、などと記載されていますが、今となっては、まったく鵜呑みにできませんので、御留意下さい。これは補正の要件が、実務上、極めてゆるかった時代に書かれたものの名残りと考えた方が現実的だとさえいえるでしょう。 米国などでは、 continuation in part なんかでは、当然ながら基礎出願は生き残り、あとは、各々のクレームの範囲と権利期間の調整を出願人に委ねていますが、日本でもそのような制度の方が望ましいかもしれません。 ただ、制度論(立法論)をいってもしょうがないので、現状の実務で、上述のリスクを回避する実践的テクニックについて述べます。簡単ではありますが、基礎出願から1年3月に取下擬制がかかるので、その前に、基礎出願の内容で、①分割出願をする、あるいは、②もう一つ国内優先権主張出願をします(これらをあわせて、「基礎ミラー出願」といいます。)。そうすることで、主張出願と基礎ミラー出願が同時継続させることができます。後は、それらの出願の間で、せいぜい、39条の問題が生じますので、ここを上手くかわすことが必要になりますが、これは出願人側でコントロールできることです(このテクニックは、また、時間のあるときに記します。)。なお、「基礎ミラー出願」は、分割出願よりも国内優先権主張出願の方が望ましいといえます。これは基礎出願時を
国際公開公報における発明の名称と国際出願時の発明の名称にズレが生じる場合があります。それにはWIPOの単純ミスを含めて、色々な原因があり得ますが、国際調査機関による決定に起因する場合があります。 国際出願時に発明の名称を記載しますが、国際調査機関は、これが気に入らない場合、発明の名称を別途決定することができます。 国際調査機関による発明の名称の決定があったかどうかは、当該出願について作成された国際調査報告の第 1 ページの 4.において発明の名称が変更された旨通知されますので、ここで、確認できます。 例えば、該当する場合、国際調査報告では、 4.With regard to the title, the text has been established by this Authority to read as follows: ●●●● みたいな表記が見られることになるでしょう。 さてかかる場合に、日本の国内移行される出願の発明の名称はどのように扱われますでしょうか。 1.日本語特許出願の場合 日本語特許出願の場合には、日本への国内移行時には、出願人は、国内書面を出すだけです。国内書面については、一切、発明の名称を記載する欄はありません。かわりに、特許請求の範囲や明細書等を特許庁が国際出願に基づいて「記録」することになります。この場合、「発明の名称を国際調査機関が決定したときは、国際調査機関が決定したものを記録します。」とされております(例えば、 こちら の14頁)。 したがいまして、えっ、誰が発明の名称を変えたの?と思うことがありますが、こういう理由のことがあります。 2.外国語特許出願の場合 外国語特許出願の場合には、日本への国内移行時には、翻訳文を提出することになりますが、国際調査機関による発明の名称の決定があった場合には、その決定された発明の名称で国内移行することになります。一応、根拠条文としては、PCT規則49.5(k)があります。 49.5 翻訳文の内容及び様式上の要件 (k) 発明の名称が37.2の規定に基づき国際調査機関により決定された場合には、翻訳文には、当該国際調査機関が決定した発明の名称を含める。 しかしながら、うっかり失念して、国際出願の願書に記載された発明の名称の翻訳