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10月, 2011の投稿を表示しています
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欧州司法裁判所による胚性幹細胞の特許性についての決定

先に法務官のOPINIONが出てる時点で取り上げましたが、欧州連合司法裁判所による胚性幹細胞の特許性についての決定がついに出されました。 結局、 先に法務官のOPINIONと大筋で変わりませんでした。 例えば、核移植により成熟細胞の核を卵子に移植して刺激を加えたものは、厳密には、「受精」ではないものの、完全な人間になる潜在性があるので、「人間の胚」に分類され、特許適格性がないとしています。 また、欧州特許庁の立場と相違がないことに言及しており、解決できないダブルスタンダードが生じる懸念は、現時点では払拭されました。 関連サイト: 以前の投稿 関連サイト: CJEUのプレスリリース 関連サイト: 決定 関連サイト: JETRO

無効審判と審決取消訴訟

審決取消訴訟で無効審判の審決(無効成立審決・無効不成立審決)が取り消される場合があります。この場合、手続的にどうなるのですか、審判に戻るのですか、については、やや細かい条文が関係するので、一応、記載しておきます。 (1)無効審判の審決が無効不成立との審決の場合 (1-1)審決に取消理由がない場合 審決取消訴訟は、単に棄却される。この判決が確定すれば、審決が確定することになる。 (1-2)審決に取消理由がある場合 審決取消訴訟は、 審決を取消すものとなる(特許法 181 条 1 項) 。この判決が確定すれば、審決が取り消されるので 、審判官はさらに審理を行い審決をすることになる(特許法 181 条 5 項) 。 この場合、審決の拘束力(行政事件訴訟法 33 条 1 項)から、通常、そのままであれば無効成立との審決となることが期待されるが、申立てにより、訂正請求の機会を得ることができる場合があるため( 134 条の 3 第 1 項)、その場合には、再び無効不成立との審決になることもある。 (2)無効審判の審決が無効成立との審決の場合 (2-1)審決に取消理由がない場合 審決取消訴訟は、単に棄却される。この判決が確定すれば、審決が確定することになる。 よって、特許は対世的に無効になる。 (2-2)審決に取消理由がある場合 審決取消訴訟は、 審決を取消すものとなる(特許法 181 条 1 項) 。この判決が確定すれば、審決が取り消されるので、 審判官はさらに審理を行い審決をすることになる(特許法 181 条 5 項) 。 この場合、審決の拘束力(行政事件訴訟法 33 条 1 項)から、他に無効理由が無い限り、無効不成立審決となることが期待されるが、他に無効理由があれば、再び無効成立との審決になることもある。 特許法 第 181 条 裁判所は、第 178 条第1項の訴えの提起があつた場合において、 当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。 5 審判官は、第1項の規定による審決若しくは決定の取消しの判決又は第2項の規定による審決の取消しの決定が 確定したときは、さらに審理を行い、 審決又は決定をしなければならない。 第 134 条の3 審判長は

特許権は独占権か排他権か?先願意匠実施の抗弁の再考

特許権は独占権か排他権か? 言葉の定義にもよるけど、基本的には、自己実施の抗弁を認めない点において、排他権であると理解されている。 ただ、条文の立てつけが、いかにも独占権的なものになっている。例えば、 68 条や 72 条など。 (特許権の効力) 第六十八条  特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を 専有する 。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。 (他人の特許発明等との関係) 第七十二条  特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特 許発明の実施をすることができない。 68 条なんかは、「専有する」に排他権としてのニュアンスを理解できるから、そんなにも問題はない。 72 条なんかは、排他権として理解するには、むしろ、確認規定と考えないといけないし、「利用」も「抵触」の一場面だと考えると、いかにも整理がされていない感じがする。 しかし、もっとも看過できなさそうなのは、なんといっても、 81 条と 82 条です。 例えば、 81 条なんかは、素直に反対解釈すれば、意匠登録出願の方が先願または同日であれば、意匠権者は、意匠権が存続する限り、特許権の技術的範囲に属しても、自己実施である限り、特許権を侵害しない(抗弁が立つ)ことが大前提になっています。 その大前提のもとに、意匠権が満了後も、 81 条の通常実施権が手に入るということです。これは、特許権や意匠権を排他権と考える立場からすると、極めてすわりが悪い規定といえます。特許権と意匠権がクロスサーチされないという理由だけで正当化するのは、排他権の思想に立つ以上は、困難そうです。 (意匠権の存続期間満了後の通常実施権) 第八十一条  特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、 その原意匠権者は、原意匠権の範囲

外国語書面出願についての翻訳文提出期間と出願公開の時期(17条の3)

・外国語書面出願についての翻訳文提出期間(36条の2第2項) ・出願公開の時期(64条1項) こららについては、実は、 「特許出願の日」の読み変え(「最先の優先日」と読み変えられます。)が、17条の3に規定されています。 これは、かなり不親切な規定ともいえます。 なぜなら、17条の3は要約書の補正可能期間についての規定であり、外国語書面出願についての翻訳文提出や出願公開とは直接に無関係だからです。 とはいえ、これを知らないでいると、特に、外国語書面出願についての翻訳文提出期間(36条の2第2項)については、手続を落としてしまうことになり、取下げ擬制になります(36条の2第3項)。ですから、ここは絶対に、注意しなくてはいけません。 (要約書の補正) 第十七条の三  特許出願人は、 特許出願の日 ( 第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項又は 第四十三条の二第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセル で、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリス ボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項又 は第四十三条の二第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。 第三十六条の二第二項本文及び第六十四条第一項において同じ。 ) から一年三月以内(出願公開の請求があつた後を除く。)に限り、願書に添付した要約書について補正をすることができる。 (特許出願) 第三十六条の二  特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書

医薬品企業法務研究会

2011年12月21日に 医薬品企業法務研究会 において、講演をさせていただきます。 ようやく講師からのコメントを提出しました。資料作りに励みます。 〈講師からのコメント〉 製薬企業の事業戦略において、特許は極めて重要な戦略ツールです。本講座においては、特許の基礎的な知識の整理から、それを前提とした上で、製薬企業における特許を巡る攻防に至るまで、概説致します。本講座を受講することで、製薬企業の事業戦略において幹となる特許の知識と知恵が備わるように努めます。 (2011年11月29日追記) 講演内容がほぼ決まりました(暫定)。目次は以下の感じです。。。 第一部:特許権概論 第二部:先発品と後発品との競合 第三部:存続期間延長 第四部: PMS 期間と薬価収載 第五部:特許のFTO 第六部:特許権侵害訴訟の構造 第七部:職務発明制度 第八部:通常実施権の対抗制度の法改正
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