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9月, 2013の投稿を表示しています
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代理権・特別の授権・委任状の提出(代理権の証明)についての探求(特許法9条・特許法施行規則4条の3)

先ず初めに、「代理権」の有無と「委任状の提出」の有無は、わけて考える必要があります。委任状というのは、書面をもって代理人の代理権を証明するものです。 現在(昔は違っていましたが)、日本では、弁理士が出願人を代理して、通常の出願や国内移行をする際には、「委任状の提出」は不要です(これは、比較法的に見て、やや珍しい部類かもしれません。)。このことは、「代理権」がいらないのではなく、「委任状の提出」がいらないということにすぎません。およそ、「代理人」(願書にも「代理人」と記載されます。)として、手続きをする以上、当該行為について、「代理権」がなければならないのは基本です。これがわかっていないと、特許法8条や9条の理解を間違えてしまいます。受験生の方も、弁理士の方も、事務担当者の方も、気を付けましょう!このように、「代理権」の有無と「委任状の提出」の有無は全く別物です。さらにいえば、「委任状の取得」の有無も別問題ですね。 では、「委任状の提出」が必要な場合は、どのような場合でしょうか。もちろん、悩んだら人に聞くという人もいます。それはそれで、大事なことですね。同様に、条文を追及するとのことです。実は、どの手続について、「委任状の提出」が必要か、については、特許法自体には記載されていません。9条は、いわゆる不利益行為について「特別授権」が必要としていますが、条文上のたてつけとしては、「委任状の提出」の必要性については記載されていませんのでご注意ください。 特許法 (代理権の範囲) 第九条  日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張若しくはその取下げ、第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。 さて、特許法施行規則に記載されています。すなわち、 法定代理権、 特許法第九条の規定による特別の授権 次に掲げる手続をする者の代理人の代理権 については、「書面をもつて証明」しなければならない、とされています。

甘えは許されない!?優先権

平成 20年 (行コ) 10002号 却下処分取消請求控訴事件 2009年3月26日判決言渡 優先権については、甘えが許されない(と思った方がよい)ので、特に注意が必要です。 次の事件では、パリ条約上の優先権を主張すべき意匠登録出願の事案ですが、出願したその日に、願書にパリ条約上の優先権を主張する記載がないことに気付いています。 しかし、出願人は、出願を出し直すのではなく、「補正」にしてしまったわけです。出願手数料を2回払うのを避けたいという気持ちはわからなくはないのですが、せっかく、気付いたのであれば、「補正」ではなく、もう一度、「出願」すべきであったと思います。もしかしたら、事務担当者や担当弁理士が自分でなんとかしようとしたのかもしれませんが。但し、出願手数料を2回払う方が、訴訟を起こさざるを得ない(そして負けている)リスクよりも、はるかにましといえます。 この辺りは、結局は、事務担当者や担当弁理士を含め、事務所全体の「背後に存在するリスクを感じる力」が求められます。つまり、願書の記載における多くの事項は、通常、容易に誤記や記載漏れがあっても、補正できるものも多いので、優先権の記載も同じように考えたのかもしれません。もし事務担当者や担当弁理士がそのように考えたのであれば、それは、全く条文などの論拠に基づかない、「経験則」を勝手に拡張させてものであり、危険すぎる行為です。 もちろん、全てについて、解決策を持ち合わせている人はどこにもいません。ただ、出発的はリスクの認識でしょう。そして、個人レベルでは、「今までしたことが無い行為である」ことが、先ずは、リスクを感じさせるのに十分だともいます。この「リスク」が正しく報告され、事務所の問題として把握できれば、後は、それに応じて、解決策を検討し、適切な対応をすればよいので、このリスク管理の徹底が重要になるかと思われます。やや一般論になりました。。。 1本件の経過 本件は, 控訴人が意匠登録出願と同時に,パリ条約による優先権主張の手続をしないで,その後の上記出願日中に,優先権主張に必要な事項を追加した手続補正をし ,さらに後日,適法な優先権主張があることを前提とした優先権証明書の提出書を提出したのに対し,特許庁長官が控訴人に対し,上記手続補正及び同優先権証明書の提出書に

勉強!?

世間は3連休ですが、なんだか毎日いろいろ「勉強」しています。。。 とはいえ、勉強というか研究というか娯楽というか、休むのも仕事の重要な一部ですから、ストレスになり逆に仕事に悪影響になるようなことがないものを、ある意味、気分転換的にやっているだけなのですが。。。 あたりまえだけど、「勉強」しても、「勉強」したことに対して報酬が支払われることはありません。。。なので、短期的・直接的には、「勉強」しない方がいいことになりそうです。 でも、長期的にみると、きちんと「勉強」すると、アドバイスの正確さ・判断や書面作成のスピード・対応可能な仕事の種類などの面において、より高い価値を提供できるようになるため、結局は、報酬が増えるかはともかくとしても、日本全体がデフレの中で、自分の仕事が常に安定的に存在する、選ばれる・必要とされる職業人でいられるために、有意義だと思います。 これは、働く人みんなにあてはまるようで、会社員でも士業でもプロスポーツ選手でも、同じだそうっです。「仕事」は本番で、「勉強」は練習で、という感じです。もちろん、本番と練習との比率が仕事よって異なるかと思いますけど。。。 報酬面で考えても、結局、自分が成長しないでいると、自分と同じことができる人がどんどん増えていくわけで、これは、下げ要因でしょう。そういう意味では、自分の成長は、不可欠で、そのために、仕事を通じた成長もあるし、勉強を通じた成長もあるし、勉強することは、間違えなく、上げ要因だと思います。 そして、そういう実利性はともかくとしても、自分の能力が高まることや、知的好奇心を刺激すること、クライアントにいい仕事が提供できること、自体が、やはり、楽しい気がします。 とはいえ、当たり前ですが、人生の中での、仕事であり勉強ですから、自分の人生の中で、バランスをとりつつ、無理しすぎないで、やっていけばいいのだと思います。人生にはいろいろなステージがあり、例えば、親の介護・子育て、恋愛・結婚・離婚、病気・怪我・手術、趣味・娯楽など、いろいろなことと向き合わないといけないことがあるから、人と比べず、自分の状況を踏まえて自分のペースで、しかし、ペースを意識しつつ、ぼちぼち、たまにはがむしゃら、といったところでしょうか。。。

条・項・号を英語でいうと・・・

一般に、 条:Article 項:Paragraph 号:Item とすることが多いようです。 日本特許法第2条第3項第1号は、これにならうと、次のようになります。 JPL, Article 2, Paragraph (3), Item (i) もちろん、以下のようにしてもいいでしょう。 Item (i) of Paragraph (3) of Article 2 また、くどいときは、次のようにやや略して記載してもだいじょうぶでしょう。 Article 2(3)(i)

知財研フォーラム

今月号の知財研フォーラム(リンクは、 こちら )に、私の執筆したレポートが掲載されました。 試練に立つヒトES細胞関連発明の生命倫理を巡る特許適格性論   2011年10月18日,EU法に関して統一した法の適用・解釈を担う欧州連合司法裁判所は,ドイツ連邦最高裁判所からの付託に基づき、ヒト胚の使用を伴う発明の特許適格性に関してEUにおける主要な法的枠組みを提供する,いわゆるEUバイオ指令の6条(2)(c)における「ヒト胚」の解釈を与える判決を下した。しかし、同判決をもってしても、EUにおける、ヒト胚の使用を伴う発明の生命倫理を 巡る特許適格性の論争に終止符が打たれることはなかった。本稿では、欧州の最新の動向を踏まえつつ、我が国におけるヒトES細胞関連発明に関する我が国における特許保護の在り方を模索する。 ==== いつも執筆の依頼や講演の依頼は、お客様の仕事をする時間の確保を最優先にしているので、依頼された時点で、お受けできるかどうか、とても慎重に判断していますが、今回は、半年ほどの猶予を頂けたのと、他ならぬダンディな高倉成男先生からのお声掛けだったので、やらせていただきます!と言ってしまいました(不覚!)。。。 ただ、半年なんて、忘れているうちにあっという間に来てしまいます。締切りを意識せざるを得なくなっても、案の定というか、いや想定の範囲を超えて、とりわけ仕事がパンパンになっており、何もできないままでした。しかし、一念発起して、仕事が無い週末を利用して、とことん調べて、質問して、書いて、リバイズして、色々な人の意見を聞いて、の繰り返しです。 書きやすいテーマを選んだつもりが、調べれば調べるほど、押さえておくべき重要な判決や基準の改定などがあり、ひとつひとつ読み込むのに時間がかかりました。さらに、調べている最中にも新しい動きがあったり、で苦労しました。すでにある刊行された論考との差異化も当然ながら意識せざるを得ず、当初の範囲を大きく超えることになりました。当初は、欧州連合司法裁判所判決C34/10だけを扱うつもりが、ドイツ最高裁判決(BGH X ZR 58/07)もISCC事件の英国特許裁判所判決(EWHC807)も、EPO(欧州特許庁)の審査基準の変更やcut off dateの運用の変遷も調べることになりました。世界中の方に助

気乗りしないときこそ一生懸命(義務倫理研修)

先日、日本弁理士会の義務研修(倫理研修)に参加致しました。 行くまでは、えんえんと5時間も続くので、忙しいのに困ったものだ、と思っていました。 しかし、歳を重ねると、こういうときに何をすべきかわかります。こういうときこそ、一生懸命にやるのがいいようです。 講義や演習の隙間の時間を見つけて、日本弁理士会への苦情事例集を全て読破しました。とても勉強になりました。苦情事例集なのですが、全ての「苦情連絡」を事例集にしているらしく、弁理士側に明らかな非がある事例もあれば、困った(変わった)お客様の事例まで、さまざまです。これは、事例そのものではありませんが「トランプの占いによれば、特許がとれないとのこと」なので、なんとかして下さい、みたいなものは、どうしたらよいか、という感じです。ただ、一番の鍵は、お客様の仕事を誠実にすることと、きちんとコミュニケーションをとること、だと思います。そして、事例集のほとんどの事例は、これにより、解決が出来るものだと思いました。 それから、ずっと、一番気になっていたコンフリクトの限界事例の件、とりわけ、弁理士法や関連規定などの解釈・運用について、この問題に長く携わってこられた方に、質問をする機会を得られたのはよかったです。 というわけで、意外と5時間ぶっ続けで、倫理やコンフリクトについて重要な事項を整理することができて、有意義でした。こういう時間は、強制的に与えられないとなかなかとれませんので。
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