特許の明細書の書き方(翻訳を意識して)
特許の明細書の書き方ですが、注意していることのひとつは、将来、当該明細書に基づいて外国に出願されるかどうかです。 もし、外国に出願されるなら、当該明細書は、通常、英語への翻訳を受けたり、さらに、英語への翻訳から、その他の言語への翻訳を受けたりすることになります。 ところで、翻訳にはミスが生じ得ることを常に考えなければいけません。本来あってはいけないことです。しかし、このリスクは想定すべきです。とりわけ、グローバル・プロセキューションを考えると、起こりえるリスクとその対処法を検討しなければなりません。たとえば、ブラジル、メキシコ、タイ、ロシア、など、いろいろな言語に、現地の代理人によって翻訳されることを考えると、そして、これらの場合、英語を介した二重の翻訳になることが通常であることを考えると、翻訳のミスは避けられない問題です。もちろん、クレーム等の逆翻訳を行うなど、コストをかければ、改善できる部分もありますが、お客様にも当然予算があり、最小限のコストで最大限のパフォーマンスが出るのが好ましいわけです。 ただし、コストをかけずに翻訳のミスを圧倒的に減らす方法があります。 それは、最初から日本語を書くときに、翻訳されることを意識して、ポイントを押さえて、丁寧に、しかし、効率的に、ドラフトするだけのことです。なんとなく、同じ日本人の審査官なら善解してくれるはず、などと考えて、安易な文章を書くと、将来、お客様が一番痛い目に遭いかねません。 主なチェックポイントとしては、 1)文書を短く記載すること 1文で10行にわたる日本語はかかず、なるべく、1文を短く切ることが翻訳しやすく、翻訳ミスが生じなくてよいです。自分で翻訳できる力があっても、世界中で翻訳される際にいろいろなレベルのいろいろなバックグラウンドの翻訳者がいることを意識して、文書を短く記載した方がよいです。優秀な人ほど、長い文書を書く傾向にあると思いますが、日本にしか出願しないのであればともかく、本当に企業にとって、いい特許の明細書は、高尚な文章ではなく、稚拙であっても、低いレベルの翻訳者(特に、発展途上国などは、日本の翻訳者のレベルで考えてはいけません。)でもほとんどミスをすることがなくきちんと翻訳できる文章です。 2)文章を平易に記載すること 上で述べたことと重なりますが、平易な...