優先権の消尽論(Doctrine of Exhaustion of Priority Right)
優先権の消尽論(Doctrine of Exhaustion of Priority Right)という、やや日本では聞き慣れない概念があります。どこにあるかというとEPOにあります。
その内容はというと、優先権は1度しか引いてはいけない、というものです。例えば、X出願に基づく優先権を主張してEPO出願Aをした後に、X出願に基づく優先権を主張してEPO出願Bをすると、優先権の効力は得られない、という概念です。
日本から見れば(米国から見ても)、極めて奇異な概念です。
しかし、これを認めた審決があります。T998/99です。他方、これを否定した審決もあります。T015/01です。
つまり、現状、矛盾した審決が併存している状態です。EPOの審査部と異議部は、T998/99に従っていないようですが、今後、EPOの審判部がどのように判断するのか、保証はありません。次にEPOの審判部が判断する場合には、拡大審判部にreferされる可能性が極めて高いといわれています。
このリスクを予防的に出願戦略の中に組み込むことも一つの可能なアプローチですし(少しコストがかかります)、現状では深刻に考えないというアプローチも当然あります。
いずれにせよ、医薬やバイオの分野では、海外情報に精通しておくことは必須ですね。研究開発の成果を世界規模で利益の最大化につなげる必要がありますから。まさに、特許戦略はそのためにあるわけです。顧問先様やクライアント様にとって最善の戦略を提供できるよう、徹底的に研鑽に励みたいと思います。
その内容はというと、優先権は1度しか引いてはいけない、というものです。例えば、X出願に基づく優先権を主張してEPO出願Aをした後に、X出願に基づく優先権を主張してEPO出願Bをすると、優先権の効力は得られない、という概念です。
日本から見れば(米国から見ても)、極めて奇異な概念です。
しかし、これを認めた審決があります。T998/99です。他方、これを否定した審決もあります。T015/01です。
つまり、現状、矛盾した審決が併存している状態です。EPOの審査部と異議部は、T998/99に従っていないようですが、今後、EPOの審判部がどのように判断するのか、保証はありません。次にEPOの審判部が判断する場合には、拡大審判部にreferされる可能性が極めて高いといわれています。
このリスクを予防的に出願戦略の中に組み込むことも一つの可能なアプローチですし(少しコストがかかります)、現状では深刻に考えないというアプローチも当然あります。
いずれにせよ、医薬やバイオの分野では、海外情報に精通しておくことは必須ですね。研究開発の成果を世界規模で利益の最大化につなげる必要がありますから。まさに、特許戦略はそのためにあるわけです。顧問先様やクライアント様にとって最善の戦略を提供できるよう、徹底的に研鑽に励みたいと思います。