特許受ける権利および特許権の譲渡
特許を受ける権利および特許権の譲渡については次の4パターンが基本形になります。
・権利の全部譲渡
例:現在A単独から、B単独になる(AからBへの権利の全部譲渡)
・権利の一部譲渡
例:現在A単独から、AとBの共有になる(AからBへの権利の一部譲渡)
・持分の全部譲渡
例:現在AとB共有から、BとCの共有になる(AからCへの持分の全部譲渡)
・持分の一部譲渡
例:現在AとB共有から、AとBとCの共有になる(AからCへの持分の一部譲渡
これらの場合の手続きは、特許を受ける権利と特許権の場合とで分けて考える必要があります。
(1)特許権の場合
特許権の場合ですと、上記4パターンに応じて、提出すべき書面も異なります。また、譲渡証書の文言も変わります。
先ずは、提出すべき書面から。次のようになります。
・権利の全部譲渡⇒特許権移転登録申請書
・権利の一部譲渡⇒特許権の一部移転登録申請書
・持分の全部譲渡⇒特許権の持分移転登録申請書
・持分の一部譲渡⇒特許権の持分の一部移転登録申請書
複数の特許について、譲渡を受けた場合に、これらを混ぜて一通でやると却下されます。例えば、共有のものと単独のものが混じっていると、それぞれ別の申請書を出さないと却下されます。
次に譲渡証書の主文ですが、典型的には次の様に記載します。譲渡証書のタイトルは、それぞれ、譲渡証書、一部譲渡証書、持分譲渡証書、持分一部譲渡証書などとしてもいいですが、重要なのは、主文なので、タイトルにはそれほど拘泥せず、単に「譲渡証書」でもよいかと思います(これに対して、提出すべき書面の種別は完全に区別しなければいけません。さもなければ、「登録の目的」が合致しないとされ、却下されるでしょう。)。
・権利の全部譲渡
上記特許権は、私(弊社)が保有のところ、今般、これを貴殿(貴社)に譲渡したことに相違ありません。
・権利の一部譲渡
上記特許権は、私(弊社)と●●の共有のところ、今般、私(弊社)の持分を貴殿(貴社)に譲渡したことに相違ありません。
上記特許権は、私(弊社)と●●の共有のところ、今般、私(弊社)の持分の一部(例えば、1/3)を貴殿(貴社)に譲渡したことに相違ありません。
ところで、特許権については、譲渡人から単独申請を認める旨の承諾を受けている場合には、譲受人による単独申請が可能です。この承諾は、譲渡証書で行うこともできます。なお、特許を受ける権利については、そのような単独申請を認める旨の承諾の有無にかかわらず、譲受人による単独申請が可能です。
(2)特許を受ける権利の場合
以下のいずれのパターンであっても、提出するのは、出願人名義変更届です。したがって、特許庁側では、譲渡証書の中身によって、以下のいずれかのパターンであるかを区別することになります。譲渡証書の文面は、特許権についてのものと同じにしておいても大丈夫でしょう。
・権利の全部譲渡
・権利の一部譲渡
・持分の全部譲渡
・持分の一部譲渡
・権利の一部譲渡
・持分の全部譲渡
・持分の一部譲渡