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米国最高裁判決・特許クレームの明確性(Nautilus v. BioSig事件)


米国最高裁は、2014年6月2日に、Nautilus v. Biosig事件において特許クレームの明確性(米国特許法112条)の基準についての重要な判決を下しました。

この判決によって、従来のCAFC(連邦巡回控訴裁判所)の基準が否定されました。

従来のCAFC(連邦巡回控訴裁判所)の基準は、「not amenable to construction」または「insolubly ambiguous」であれば、不明確とされるというものでした。そして、そのような基準に基づき、CAFC(連邦巡回控訴裁判所)は、本件で問題となったクレームの文言(「spaced relationship」)を不明確ではないとしていました。

しかしながら、最高裁判所は、全員一致で、CAFC(連邦巡回控訴裁判所)の基準を否定し、これよりも厳しい(特許権者にとって厳しい、すなわち無効にしやすい)と理解し得る基準を案出しました。それが、「reasonable certainty(合理的確実性)」の基準です。

そして、米国特許法112条が要求する特許クレームの明確性を満たすためには、明細書と審査経過が参酌される旨が明示されています。

最高裁判所は、このようにして、事件を差し戻しました。

デリケートな問題ですが、最高裁判所も、完全無比なものは期待し得ないことを含意しており、今後の積み重ねにより、具体的なさじ加減が重要になってくるものと思われます。

実務家としては、今後、より慎重に、特許クレームについて、明細書と審査経過により、明確化を図ることが求められます。もっとも、「審査経過」が挙げられているのが一つのポイントであり、明細書が不十分であっても、それで死に体になるのではなく、ある程度であれば、「審査経過」でフォローしていくという、実務上の工夫がより一層重要になるかと思われます。






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