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国際調査機関による発明の名称の決定と国内移行


国際公開公報における発明の名称と国際出願時の発明の名称にズレが生じる場合があります。それにはWIPOの単純ミスを含めて、色々な原因があり得ますが、国際調査機関による決定に起因する場合があります。

国際出願時に発明の名称を記載しますが、国際調査機関は、これが気に入らない場合、発明の名称を別途決定することができます。

国際調査機関による発明の名称の決定があったかどうかは、当該出願について作成された国際調査報告の第 1 ページの 4.において発明の名称が変更された旨通知されますので、ここで、確認できます。

例えば、該当する場合、国際調査報告では、
4.With regard to the title,
the text has been established by this Authority to read as follows:
●●●●

みたいな表記が見られることになるでしょう。

さてかかる場合に、日本の国内移行される出願の発明の名称はどのように扱われますでしょうか。

1.日本語特許出願の場合

日本語特許出願の場合には、日本への国内移行時には、出願人は、国内書面を出すだけです。国内書面については、一切、発明の名称を記載する欄はありません。かわりに、特許請求の範囲や明細書等を特許庁が国際出願に基づいて「記録」することになります。この場合、「発明の名称を国際調査機関が決定したときは、国際調査機関が決定したものを記録します。」とされております(例えば、こちらの14頁)。

したがいまして、えっ、誰が発明の名称を変えたの?と思うことがありますが、こういう理由のことがあります。

2.外国語特許出願の場合

外国語特許出願の場合には、日本への国内移行時には、翻訳文を提出することになりますが、国際調査機関による発明の名称の決定があった場合には、その決定された発明の名称で国内移行することになります。一応、根拠条文としては、PCT規則49.5(k)があります。

49.5 翻訳文の内容及び様式上の要件 
(k) 発明の名称が37.2の規定に基づき国際調査機関により決定された場合には、翻訳文には、当該国際調査機関が決定した発明の名称を含める。


しかしながら、うっかり失念して、国際出願の願書に記載された発明の名称の翻訳文を記載したとしても、それほど大きな問題にはならないと思います。


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