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国際事務局による国際公開の要約書の翻訳文の作成


例えば、日本語で国際出願をした場合、国際公開には、英語の要約文も記載されています。

実は、出願するときには、日本語の要約文しか提出していません。

誰が、英語の要約文を作成しているのでしょうか?

PCT規則48.3(c)に規定されています。

48.3 言語
(a) 国際出願は、アラビア語、英語、スペイン語、中国語、ドイツ語、日本語、韓国語、ポルトガル語、 フランス語又はロシア語(「国際公開の言語」)でされた場合には、国際出願がされた言語で国際公開を行う。
(b) 国際出願は、国際公開の言語でされず、かつ、12.3又は12.4の規定により、国際公開の言語 による翻訳文が提出された場合には、当該翻訳文の言語で国際公開される。 
(c) 国際出願の国際公開が英語以外の言語で行われる場合には、国際調査報告(48.2(a)(ⅴ)の規 定により公表された部分に限る。)又は第十七条(2)(a)の宣言、発明の名称、要約及び要約に添付する図に 係る文言は、当該言語及び英語の双方で国際公開を行う。英語による翻訳文は、12.3の規定に基づき出願人が提出しない場合には、国際事務局の責任において作成する。

すなわち、国際出願の国際公開が日本語でされる場合には(PCT規則48.3(a))、要約については、日本語および英語で国際公開がされます(PCT規則48.3(c))。そして、「12.3の規定に基づき出願人が提出しない場合には」国際事務局の責任において作成されます(PCT規則48.3(c))。

となっております。

ここで、「12.3の規定に基づき出願人が提出しない場合には」となっておりますが、同規定は、「国際出願が国際調査を行う国際調査機関により認められていない言語によりされた場合」に出願人が翻訳文を提出しなければならないとする規定であり、日本語で国際出願がされた場合には基本的に発動されない規定です。 したがって、結局、日本語で際出願がされた場合には、国際事務局の責任において、要約書の翻訳が作成され、国際公開されるわけです。

内外業務との関係でいえば、この要約書は、単に国際事務局が外注した翻訳会社が作成しているので、国際出願を各国移行する際に、出願人側の代理人が訳した明細書・請求の範囲・要約書等とは、用語が統一されておりません。したがって、各国移行時には、要約書等も、あらためて、出願人側の代理人が作成し直すことが通例だと思います。国際公開の英語の要約書をそのまま使ってももちろん違法ではありませんが、要約書をクレーム解釈の基礎資料にする国があったりとかの問題もありますし、用語の統一の問題もありますので、上述のとおり、出願人側の代理人が作成し直すことが通常です。明細書や請求の範囲を翻訳する際に一緒に翻訳するのと文字数も少ないので、安価です。

逆に、外内業務との関係でいえば、国際出願が、例えばドイツ語やポルトガル語や中国語や韓国語で行われている場合、現地代理人が送付してくる英語(翻訳文)の要約書が、国際公開の要約書と異なる場合があります。この場合でも、出願人側の代理人が作成してきた要約書に従う方が無難です。

なお、以前に記載しましたが、要約書の話ではなく、発明の名称を国際調査機関が付け直した場合には、日本では、基本的に、そちらを優先することになります。
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