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オキサリプラチン知財高裁大合議判決


ついに知財高裁判決が出ました。

予想された範囲内での判決だと思います。

そして、本大合議判決の裁判官のせいではまったくありませんが(もともとは、存続期間延長の登録要件についての最高裁判決に端を発する問題ですので。)、この先、10年、20年は、予見可能性が低い部分が残ることになりますね。

一方で、物質特許などについては、それなりに予見可能性が高まったとはいえそうです。

同判決にも記載されているとおり、中身からすれば、技術的範囲に属していないわけですから、延長された特許権の効力が及ぶかどうか判断する必然性は無かったといえますが、一応、大合議としての見解を示すべき事案なり時期だったのでしょう。


以下、少し判決文を見ていきます。
医薬品の承認に必要な審査の対象と なる事項は「名称,成分,分量,用法,用量,効能,効果,副作用その 他の品質,有効性及び安全性に関する事項」であり,これらの各要素によ って特定された「品目」ごとに承認を受けるものであるから,形式的には これらの各要素が「物」及び「用途」を画する基準となる。 
もっとも,特許権の存続期間の延長登録の制度趣旨からすると,医薬品 としての実質的同一性に直接関わらない審査事項につき相違がある場合に まで,特許権の効力が制限されるのは相当でなく,本件のように医薬品の 成分を対象とする物の特許発明について,医薬品としての実質的同一性に 直接関わる審査事項は,医薬品の「成分,分量,用法,用量,効能及び効 果」である(ベバシズマブ事件最判)ことからすると,これらの範囲で「物」 及び「用途」を特定し,延長された特許権の効力範囲を画するのが相当で ある。
アバスチン最判を踏襲して、医薬品としての実質的同一性に 直接関わる審査事項は,医薬品の「①成分,②分量,③用法,④用量,⑤効能及び効 果」であるとしています。

そして,「成分,分量」は,「物」それ自体の客観的同一性を左右する 一方で「用途」に該当し得る性質のものではないから,「物」を特定する 要素とみるのが相当であり,「用法,用量,効能及び効果」は,「物」そ れ自体の客観的同一性を左右するものではないが,前記のとおり「用途」 に該当するものであるから,「用途」を特定する要素とみるのが相当である。 
つまり、「①成分,②分量」は「物」、「③用法,④用量,⑤効能及び効 果」は「用途」とわりふります。実際には、承認の内容という面でも、特許との関係という面にいおいても、区別し難い場合もあるかと思いますので、今後の争いの対象にはなるかもしれませんが。
以上によれば,医薬品の成分を対象とする物の特許発明の場合,存続期 間が延長された特許権は,具体的な政令処分で定められた「成分,分量, 用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」についての「当該 特許発明の実施」の範囲で効力が及ぶと解するのが相当である(ただし, 延長登録における「用途」が,延長登録の理由となった政令処分の「用法, 用量,効能及び効果」より限定的である場合には,当然ながら,上記効力 範囲を画する要素としての「用法,用量,効能及び効果」も,延長登録に おける「用途」により限定される。以下同じ。)。 
(仕事が忙しくなってきたので、後程加筆します。)



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