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取り扱わない業務!



若いころは、何でも経験ですので、仕事は選ばず、与えられた仕事はなんでも、一生懸命やった方がいいかと思います。どのような仕事に自分が向いているか、向いていないか、という自分の適性を広く見極めることも大事だと思います。私も、若いころはそのようにしていました。

今は、事務所を経営するという点を含め、諸般の観点から、弊所では、受件するにあたり何らのコンフリクトが無くても、以下の業務は原則として取り扱っておりません。もちろん、しかるべき紹介(経営者・弁護士・弁理士・友人など)があれば、是々非々で判断することにもなりましょうが。


1.個人発明家様の出願の代理

個人発明家様の場合、「特許出願をしても必ず、特許になるわけではない」、といった基本的な事項をはじめ、かなり丁寧な仕事が求められます。新規性とは?進歩性とは?審査請求料がなぜ必要か?登録料がなぜ必要か?など、挙げれば切りがございません。また、特許を一つとれたからといって、利益があがることが保証されているわけではなく、その先も、利益を上げるまでに長い道のりがあります。利益が上がらなければ、特許は単なる飾りであり、また、取得費用・維持費用を含めると不良債権でもあります。

弊所のスタイルである、高品質のサービスを費用対効果が高く、クライアント様に提供するという観点からは、難しいようです。もちろん、個人発明家様でも、とても特許制度を深く理解されている方もいらっしゃるので、是々非々で判断すべきこともあるかと思います。また、しかるべき紹介がある場合には、その方が間に入って調整をして下さるので、お引き受けをさせて頂くこともございます。

もちろん、個人発明家様によりそい、丁寧なお仕事をされている特許事務所様は立派なことをされていると思います。

なお、弊所でも、たまには、色々なご縁で特別な価格で個人発明家様の出願をさせて頂くこともあります。1件出願して、3万円とかといった価格でさせて頂いたこともあります。もっともこのような特別な価格は、仕事としては赤字ですので、仕事としては成り立ちません。ただ、こういうある種のプロボノ的な活動も大事だと思います。

2.後発品専業メーカー様の対先発品メーカーに対する攻撃防御の代理

先発品メーカー様の代理をさせて頂くことが多いため、後発品専業メーカー様の対先発品メーカーに対する攻撃防御(訴訟・無効審判等)の代理は、当該特定の相手方の先発品メーカーとの間でのコンフリクトが無かったとしても困難です。この辺は各特許事務所様・法律事務所様のポリシーにもよりますので、もちろん、先発品メーカーをクライアントにもっていても、コンフリクトが無ければ、当該特定の相手方の先発品メーカーとの間でのコンフリクトが無い限り、受件される事務所様もあるかと思います。まだまだ、そのような事務所様は少数派かと思われますが、今後は先発品メーカーと後発品メーカーの区別が相対化するでしょうから、今後は、時代とともに、多数派になるのかもしれません。

弊所では、調査案件などはともかくとしても攻撃防御(訴訟・無効審判等)の代理はしておりません。もっとも、先発品メーカーの後発品部門(後発品子会社)の代理であれば、コンフリクトが無い限り、お引き受けすることはできます。

3.特許不実施主体(Non Practicing Entity)による特許実施主体(Practicing Entity)に対する攻撃防御

これも弊所では、原則として、相手方との間でコンフリクトがなくとも受件させて頂いていない類型の業務です。

特許実施主体(Practicing Entity)からみて、ライセンス料を求める特許不実施主体(Non Practicing Entity)は、けしからん、という論調で批判されることが多いです。特許不実施主体(Non Practicing Entity)を揶揄する言葉として、パテントトロールという言葉もあります。

権利行使にアグレッシブな特許不実施主体といっても、多様化しており、例えば、米国の大学の知財管理部門が、韓国のサムソンや日本のソニーを米国の裁判所に提訴して、巨額のライセンス料を得たりもしています。また、マイクロソフト、インテル、ソニー、ノキア、アップル、Google、といった巨大企業が出資するインテレクチャル・ベンチャーズなども、パテントトロールと呼ばれます。

米国のCAFCの裁判官とお話したときも、パテントトロールという言葉は、一方からみた、侮蔑的で片面的な言葉にすぎず、特許という知的財産を保有するものが、どのようにそこから収益を上げるかの手段にすぎないので、そのような言葉なり、属性に意味はないと、言っておられたのが、印象的です。

このあたりは、特許制度の存在意義や差し止め請求権の要件論といった法律論や制度論、さらには、政治的配慮などから、議論されるので、なかなか難しい部分があるかと思います。米国では、パテントトロールに関する安易に差し止め請求権の制限を認めようとすると、結果として、製薬会社の権利行使が「公益的観点」から制限されることにつながり得るという懸念もしばしば指摘されています。

とにかくいろいろありますが、弊所としては、現在全く受件しておりません。端的にいえば、そのような活動にさく時間が全くとれないのと、弊所としては、医薬・バイオ・化粧・医療機器・化学といった分野に経営資源(自分の時間)を集中させたいからです。論理的に侵害や無効を分析することは嫌いではなく、むしろ得意だとは思いますが、どうもその先のアグレッシブな交渉に気疲れするのだと思います。もっとも逆に、特許不実施主体を相手方とする案件(依頼者が特許実施主体)であれば、分野を問わず、お引き受けしております。

もっとも、最近では、ブティック型の法律事務所のみならず、大手の法律事務所様や特許事務所様でも、特許不実施主体による特許実施主体に対する攻撃防御の案件をされるところもあるようですし、そのような活動が特段悪いわけではなく、むしろ、個別の特許をポートフォリオにまとめ、収益化し、分配するのは、社会的な意義もあるかと思われますので、特に、批判すべきものではないかと思われます。

4.職務発明訴訟における発明者様の代理

これも弊所では、原則として、相手方との間でコンフリクトがなくとも受件させて頂いていない類型の業務です。発明者を助けるという社会的意義はあると思いますし、中村修二先生をはじめ、職務発明訴訟というジャンルを東京永和法律事務所において確立した升永弁護士には畏敬の念を覚えます。

しかしながら弊所の、企業を依頼者とする特許事務所としての性格上、職務発明訴訟における発明者様の代理については、相手方との間でコンフリクトがなくとも受件させて頂いておりません。もちろん、逆に、職務発明訴訟における企業側の代理は致します。

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