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日本人・日本企業が米国特許庁に国際出願をしてしまったら。


日本人・日本企業が米国特許商標庁に国際出願をしてしまったら、どうなるでしょうか?

日本人・日本企業が米国特許商標庁に国「内」出願することに何らの問題もありません。当然、仮出願もできます。

しかしながら、日本人・日本企業が米国特許商標庁に国際出願することはできない場合があります。

なぜなら、特許協力条約では、下記のとおり、PCT規則19.1において出願をする国内官庁(受理官庁)に制限が課されているからです。

19.1 出願先
(a) 国際出願は、(b)の規定が適用される場合を除くほか、出願人の選択により、次のいずれかに対して行う。
(ⅰ) 出願人がその居住者である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁
(ⅱ) 出願人がその国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁
(ⅲ) 国際事務局(出願人がその居住者又は国民である締約国のいかんを問わない。)

したがいまして、当該日本人・日本企業が米国の「居住者」でも「国民」でもなければ、国際事務局に出願せざるを得ないわけです。もちろん、当該日本人・日本企業であっても、米国の「居住者」や「国民」であれば、米国特許商標庁に国際出願をすることはできます。

この点、PCT規則18.1において補足されております。
18.1 住所及び国籍
(b) いかなる場合にも、
(ⅰ) 締約国において現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有することは、当該締約国において住所を有するものとみなす。
(ⅱ) 締約国の国内法令に従つて設立された法人は、当該締約国の国民とみなす。

さて、これは非常に重要なことで、常に意識しなければなりません。なぜなら、正しい受理官庁に国際出願をすることは国際出願日の認定要件だからです(PCT11条(1)(ⅰ))。

第十一条
国際出願日及び国際出願の効果
(1) 受理官庁は、次の要件が受理の時に満たされていることを確認することを条件として、国際出願の受理の日を国際出願日として認める。
(ⅰ) 出願人が、当該受理官庁に国際出願をする資格を住所又は国籍上の理由により明らかに欠いている者でないこと。
しかしながら、ついついこの点を失念してしまうことがございます。これは以外と起こり得ることです。

なぜなら、米国に基礎出願をした場合に、そのまま米国で国際出願をしてみたくもなるからです。

なお、これと同様の問題(国が逆となる問題)が日本でも生じ得ます。すなわち、日本に進出している外国法人について、日本法人で生まれた発明について日本に出願する際に、管理の都合上、外国法人を出願人とすることがありますが、この出願を基礎として、外国法人を出願人として、日本国特許庁に国際出願をしてしまうと、まったく同じ問題が生じてしまいます。

さて表題の場合、どのようになりますでしょうか?国際出願日が認定されないままですと、優先権の時期的な主張要件が満たされなくなったりして、多大な不利益が生じるおそれがあります。結論からいえば、PCT規則19.4により救済される場合があります。すなわち、一定の要件下、表題の場合でいうなら、米国特許商標庁が受理官庁として国際出願を受領したのではなく、受理官庁としての国際事務局の「代わりに」国際出願を受領した、というように便法的に擬制する、という救済規定があります。
19.4 受理官庁としての国際事務局への送付
(a) 国際出願が条約に基づいて受理官庁として行動する国内官庁にされた場合において、次のときは、その国際出願は、(b)の規定に従うことを条件として、19.1(a)(ⅲ)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局に代わつて当該国内官庁が受理したものとみなす。
しかしながら、このような規定に頼らざるを得ないので、ひやひやすることになります。また、このような場合、米国特許商標庁に国際出願をするくらいですから、代理人が米国事務所になっていることがほとんどです。この場合、代理人の要件も満たしていないことになり得ます。そして、これらの問題を所定の期限までにFIXしなければ、出願自体の存立に影響を与えるような大きな問題になることもあります。しかしながら、それらの問題の解決には、直接、国際事務局に対し、英語でやりとりをしなければならない場合が多く、かなり神経をつかいます。

弊所では、日本企業に関連して他国の特許法律事務所で生じた、同様の重大な事案を解決した事案もございます。ただ、弊所のお客様には同様の問題が生じないように、PCT出願をする時点において、確認をしておりますので、ご安心ください。
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